お互いを尊重することこそが教えることの核心

ヘリーン・J・内田

私は来日前から既にベテランの英語教師でしたが、柔道との出会い、そして日本のEFLの生徒たちを教えることによって、私の教授チュ法はめざましい展開を 見せることになりました。今では、クラスにおける最も重要な要素は、尊重する、という発想が基調になっていると迷わず言えます。これを教えてくれた柔道と 日本の最初の生徒たちに感謝しています。

早稲田大学の柔道場で内田壮平から最初に柔道を教わったとき、彼は言いました。「柔道は一人ではできません。相手が必要です。」また、柔道は一人ではでき ないので、相手を尊重しなければならないとも言いました。本質的に、柔道とは相手がいるからこそできるのだ、ということです。自分よりも相手の方が強けれ ば、相手から学びます。もし相手の方が弱ければ、強い方が弱い相手を助けてあげます。これは、非常に独立心の強かった私にとって、意外な事実でした。それ までは協力することや、ギブ・アンド・テイクといった発想をほとんど持ったことがありませんでした。柔道への適合(黒帯を取得するまでになりました)、国 際結婚、そして日本における英語教育者としての道という意味で、この哲学は私の人生を変えました。

生徒たちは一人で英語を話すことはできません。相手が必要です。ですから私たちのカリキュラム、授業、レッスンは全て二人のやりとりが中心になるよう組ま れています。柔道と同様、クラスではウォーム・アップ、試行錯誤のチャレンジ、クエスチョン・アンサー・ダイアログをパートナーと繰り返し練習に励むよう 勧めています。私たちは、生徒が互いに英語を経験できるようなアクティビティー編成をしなければならないと信じています。私たちが言うまでもなく、生徒た ちはたった一人ではこういう楽しいアクティビティーはできない、即ち、相手を尊重しなければならない、ということが本質に分かっているようです。

尊重するというのは勝ち対勝ちの状態です。私が先生としてまずしなければならないのは、生徒たちに分かるように彼らを尊重することです。私が生徒を尊重す れば、鏡のように彼らはその尊重を私に反射させてくるでしょう。そして、一旦その関係が確立されれば、彼らはほぼ間違いなく互いを、勉強の内容、そして最 終的には自分自身を尊重するようになるでしょう。

そして、これは私が英語を教える際のゴールです ― 生徒たちが他の人に英語で話しかけるという戦略的一歩を踏み出すために必要な、自己尊重と自信の種を植えること。つまりはそういうことではないでしょうか。

クラスで一番重要な要素は尊重することだと思います。それが欠如していたのでは、本当の勉強はあり得ないと思います。